メタバースにおける学びのあり方
想像してみてください。バーチャルな空間と現実世界の間を、境目を感じずに行き来して学ぶことができるようになったとしたら――。
この数十年を振り返ってみると、私たちの学びの形はコンピューティングプラットフォームの発展とともに進歩してきました。80年代は、何か知りたいことがあったら百科事典をめくって、そこに1段落の説明と1枚の写真でも見つかれば御の字でした。
90年代に入ると、私たちはデスクトップコンピューターでインターネットにアクセスして情報を得るようになりました。近年はモバイルデバイスの登場により、手のひらから世界中にアクセスし、気になることがあったらいつでもインターネットで調べられるようになりました。この進歩における次なる一歩は、拡張現実(AR)やバーチャルリアリティ(VR)などの没入型テクノロジーの活用です。
メタバースとは、デジタル空間にいながら他の人の存在を感じられるバーチャル環境のことです。それは、モバイルデバイスを使ってインターネットを外から眺めるのとは違い、インターネットの中に入り込む感覚です。
物理的に同じ空間にいなくても、ともに何かを作り、探索をし、人や場所とつながることができれば、新たな可能性が開けます。さまざまなものを利用できる機会や経済的機会が増え、私たちの学びのあり方は根底から変わることになるでしょう。
メタバースは将来、クリエイターや開発者、そして大小さまざまな組織が協力して作り上げるプロジェクトへと進化します。まだ始まったばかりですが、新しい学びの形を求める機運とニーズは高まっています。ARとVRのテクノロジーが日常的な学びを支えられるほどに広く普及したのは初めてのことです。ARでストーリーを現実世界に具現化し、VRで物理法則を忘れて友達との時間を過ごすなど、スマートフォンやVRヘッドセットは、デジタル空間と現実世界を融合した驚きのビジュアル体験を可能にしています。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは世界中で教育における変化に拍車をかけ、あらゆる場所でオンライン学習が導入されました。対面授業とオンライン学習の両方を組み合わせるハイブリッド型授業が全面的に導入された結果、従来のように一方的に知識を与えるのではなく、学習者が主体となって知識を獲得する学習モデルへの移行が起き、オンラインから授業に参加しやすくなりました。
メタバースによってこの学習モデルに没入型の要素が加われば、対面でも、オンラインでも、シミュレーション環境でも学べるようになります。
シミュレーション環境では、3Dオブジェクトを操り、体験ベースの学習を通じて探求できるようになります。これが実現すれば、メタバースによって教育の障壁が取り払われ、いつでも、どこでも、学びたいと思ったときに学べるようになるでしょう。
Metaは、メタバースにおける学びを支えるエコシステムの構築に力を入れています。その一環として、次世代のAR/VRクリエイターをサポートし、質の高い没入型体験によって学びのあり方を変え、テクノロジーを利用して教育機会を拡大しています。将来は、仕事や学習、ショッピングや遊びに、ARとVRが継ぎ目なく組み込まれた世界がやってくるので、働き手の能力開発は間違いなく重要になります。しかし、こうしたARやVRのスキルは教育機関でまだ広く教えられていません。そこでMetaは、次世代のクリエイターと開発者のトレーニングに着手します。
専門的なトレーニングの提供
メタバースの構築に欠かせない没入型のスキルを教えるトレーニングの第1弾として、MetaはMeta Sparkカリキュラムを公開しています。この系統立った学習プログラムは、あらゆるスキルレベルのクリエイターに対して、Meta SparkでAR体験を作る方法を教えるものです。現在のAR体験には、人や物に適用できるARエフェクトがあるほか、身の回りの場所や空間に適用できるARエフェクトも増えています。
スキルを持ったクリエイターを育てれば、体験ベースの授業、3次元の視覚化、そして仮想空間の臨場感を駆使した、より質の高い没入型学習コンテンツが生まれるでしょう。縮尺、距離、時間を自由に操ってミクロやマクロの世界を探索したり、他の人の世界を擬似的に体験して共感力や認識力を養ったりできるようになるかもしれません。没入型のトレーニングで、探索、発見、練習ができるシミュレーション環境を提供することで、あらゆる業界で学習の質が向上します。加えて、クリエイターは新しいメディアと新しいツールをキャンバスにしてコンテンツを生み出せるようになります。
テクノロジーへのアクセスの拡大
没入型のテクノロジーが学習体験にもたらす真の価値と可能性を理解するには、非営利団体や教育機関、重要なコミュニティにおいて、テクノロジーに触れ、活用できる機会を増やさなければなりません。Metaは、他の組織と協力してハードウェアの寄付を増やすだけでなく、図書館や博物館・美術館といった地域の教育施設に投資し、メタバースでの学びの可能性を実際に示すことで人々の行動を喚起していきます。
今、メタバースへの期待が高まっています。その証拠に、変化を肌で感じます。パンデミックを機に新たな世界が始まりました。私たちはもう、以前の暮らし方に戻ることはできないでしょう。
メタバースによって、さまざまなツール、テクノロジー、チャンスが集約されれば、この世界はもっとおもしろく、もっとクリエイティブで、もっとつながった場所になります。
Meta没入型学習について
学びの変革
最初のコンシューマー向けVRデバイス、Oculus Riftを市場に投入した2016年の時点で、Metaはすでにバーチャルリアリティ向けの基礎教育アプリを検討していました。その頃とはコミュニティの姿が様変わりしましたが、学習の新たな時代に突入している今、Metaは、よりいっそう世界のためになることができると確信しています。
Metaは、Meta没入型学習ファンドを通じて資金を投じ、次世代のクリエイターの育成と支援、学びのあり方を根底から変える質の高い没入型体験の提供、そしてテクノロジーを用いた学習機会の拡大に取り組んでいます。
この大きな投資では、以下の領域に注力します。
発展を遂げているAR/VRエコシステムのために、私たちはこの4つの重点領域を支える良い循環を作り、教育者と学習者にとっての機会を生み出していく必要があります。この投資を通じて協力することで、Metaは、AR/VRとメタバースによって世界中の学びのあり方を変革する先駆者となることができます。