—製品担当CPCO (最高プライバシーおよびコンプライアンス責任者)、Michel Protti
Metaのプライバシー保護の取り組みは、企業運営全体にプライバシー保護とデータ使用基準を組み込む、社内のガバナンス構造によって支えられています。
プライバシー保護の全社への浸透に引き続き取り組むなかで、Metaでは製品グループ内にプライバシーチームを組み込み、そのチームが各製品グループの中で専門知識を提供することでプライバシーへの配慮についての理解を深めています。プライバシーを担当するこのチームにより、Meta製品のプライバシー保護の責任を最前線で実現しています。また、Metaの製品ロードマップにプライバシー要件を組み込むための強固な協働型プロセスを確立しています。製品チームは年に2回、平均6~8週間かけてロードマップにプライバシー要件を組み込む作業に取り組み、ロードマップの一部を新しいプライバシー保護の構築と改善に充てています。
製品担当CPCO (最高プライバシーおよびコンプライアンス責任者)のMichel Prottiが率いる製品コンプライアンス&プライバシーチームは、技術部門と非技術部門の多数のチームから成り、プライバシー戦略についてMetaに指針を示すことを主な業務としています。
製品コンプライアンス&プライバシーチームは、包括的なプライバシープログラムの維持にあたって中心的な役割を果たしています。このチームは、Meta全体に責任ある慣行を浸透させ、イノベーションを実現するというミッションを指針としており、Metaの製品とサービスで利用者データが責任を持って使用されていることを利用者に理解して信頼してもらえるよう取り組んでいます。
製品コンプライアンス&プライバシーチームはプライバシーに関する責任を担う数多くの組織の1つに過ぎません。Metaでは、公共政策、法務、製品など、組織や役割の異なる何千人もの社員が、企業運営のあらゆる側面にプライバシー保護を浸透させようと取り組んでいます。プライバシーを適切に取り扱うには、部門を越えた深いレベルでの連携が必要です。私たちは、Metaの全社員がその責任を担っていると考えています。
バイスプレジデント兼ポリシー担当CPO (最高プライバシー責任者)のErin Eganが率いるプライバシー&データポリシーチームは、新しい規制のフレームワークなど、プライバシーに関するグローバルな議論に先陣を切って参加しています。また、世界各国の政府や専門家から受けた指摘が、Metaの製品デザインやデータ使用で考慮されるように取り組んでいます。
そのために、プライバシー&データポリシーチームでは、さまざまな諮問体制を通じて関係各所の意見を聞いています。2024年には以下のような活動を行いました。
Metaは、プライバシー保護を促進し、その手法の進化を共有するための業界カンファレンスやその他のイベントを支援し、参加しています。2024年には、USENIXの「Conference on Privacy Engineering Practice and Respect」で、プライバシー強化技術の進歩について発表しました。また、IAPPのカンファレンスでは、世界各地のプライバシーとガバナンスの専門家に、ガバナンスと説明責任に関するベストプラクティスを共有しました。これらのイベントは、Metaが専門家に知見を共有すると同時に、専門家から知見を学ぶための場所であり、そうした視点を製品やポリシーの構築に取り入れる機会となります。
さらに、Metaは諮問グループを通じてさまざまな専門家と提携しており、2024年にこれらのグループを拡大しました。これらのグループを設置した目的は、Metaが革新的なテクノロジーを開発する際に直面する新しく複雑な課題に関する意思決定に必要な情報を獲得するためです。2024年には、以下の領域を専門とするグループに助言を求めました。
プライバシー関連の法務チームは、プライバシープログラムの設計および継続的な実施への関与のほか、プライバシー審査プロセスで法的要件について助言を行っています。
プライバシー・製品コンプライアンス委員会は、Metaの取締役会から独立した委員会です。四半期に1回以上会合を開いており、プライバシー保護と製品コンプライアンスを監督する役割を担っています。類似分野の監督職の経験が豊富な社外取締役で構成されるこの委員会は、世界的な政策の状況やMetaのプライバシープログラムの状態、独立した第三者によるプライバシープログラムの評価ステータスなどについて、四半期に1回以上ブリーフィングを受けています。
内部監査は、プライバシープログラムとそれを支えるコントロールフレームワークの全体的な健全性を、独立した立場から保証するものです。
Metaの全員がプライバシー保護の役割を理解できるようにするため、トレーニングや社内のプライバシー啓発キャンペーンを通じて、プライバシーに関する学習と教育を継続的に推進しています。
Metaのプライバシー教育の根幹を成すのは、プライバシートレーニングです。Metaのプライバシートレーニングはプライバシーの基本的な要素を扱うもので、Metaの全員がプライバシーリスクを特定し、適切な判断を下してそれを軽減する能力を身に付けられるように設計されています。これにより、何を構築するかだけでなく、どのように構築するかについても誇りを持てるようになります。重要なテーマの1つは、Metaの社員に、プライバシーのリスクを防ぎ、軽減するための「防御の最前線」としての自覚を持ってもらうことです。
eラーニング形式で提供される年次プライバシートレーニングコースと、新規採用の社員・非正規社員向けのプライバシートレーニングコースでは、Metaの業務に沿ってプライバシーについて考えることができるシナリオ仕立ての具体例が示され、関連するプライバシーの概念についての理解度を確認する評価テストも行われます。どちらのトレーニングも、基本的な概念と合わせてその時々で重要な情報を学べるように、毎年更新した上で実施されます。
こうした基本的な必須のプライバシートレーニングに加え、トピックとリスクを扱うすべてのプライバシートレーニングについてもリスト化して管理しています。
プライバシーへの意識を全社レベルで高める方法としては、そのほかに社員向けの定期的な情報発信があります。Metaでは、プライバシートレーニングコースに加え、社内のコミュニケーションチャネル、Metaの経営陣からの最新情報の提供、社内向けのQ&Aセッション、そしてプライバシーデーを通じて、プライバシー関連のコンテンツを継続的に提供しています。
Metaでは、データプライバシーデーなどの重要なイベントを活用して、全社でプライバシー保護に集中して取り組み、Metaの経営陣の講演に加え、興味を引くコンテンツやイベントを提供してプライバシーの重要な概念や優先事項を重点的に紹介しています。
Metaは、企業として世界各国のプライバシーおよびデータ規制を遵守するため、専任チームを設けています。この目標を達成するために、外部から求められる規制上の義務を特定し、これに適切に対応するための包括的なエンドツーエンドのプロセスを策定しました。このプロセスにより、すべての新たな規制上の義務を包括的に把握し、予測可能なプロセスで対応できるようになります。
Metaでは、利用者データの取得、使用、共有、保存に関連したプライバシーリスクを特定および評価するプライバシーリスク管理プログラムを策定し、これをもとにリスクテーマの特定、プライバシープログラムの改善、将来のコンプライアンスの取り組みに向けた準備を行っています。
プライバシーリスクに対処するため、Metaは、プロセスや技術的なコントロールなどの安全策を敷いています。その中では、プライバシーリスク軽減策の設計と有効性について内部評価を実施しています。
Metaは、プライバシーイシューの自主的な特定と修正を円滑に行えるよう、イシュー管理機能を一元化しました。このプロセスは、プライバシーイシュー管理のライフサイクル全体(受理、トリアージ、修正立案、エビデンスに基づく終了)をカバーしています。
Metaは、潜在的なプライバシーリスクを特定するプロセスやテクノロジーを能動的にテストするためにプライバシーレッドチームを立ち上げました。プライバシーレッドチームは、社内外の人間になりきってMetaのプライバシーコントロールや安全策をかいくぐることを試みます。これは、Metaのコントロール環境の改善余地を能動的に特定するのに役立っています。
いくら強固な緩和策と安全策を敷いたとしても、それだけでは十分ではありません。Metaが責任を負っているデータの機密性、完全性、可用性を損ないかねない事象がいつ発生したのかを特定し、そうした状況を調査し、特定された課題への対策を実施するためのプロセスも必要です。
Metaがグローバルに運用しているインシデントの管理プログラムは、Metaがプライバシー関連のインシデントを特定、評価、緩和、修正するプロセスを監視しています。インシデント管理プロセスはプライバシーチームの指揮のもとで行われますが、プライバシー関連のインシデントはMetaの全員の責任です。法務チームや製品チームを含め、すべての部門が重要な役割を担います。Metaはこれからも重層的なプログラムの構築に時間とリソースと労力を投じ、プログラムを継続的に進化させ、改善していきます。以下に、当社の3つのアプローチを紹介します。
Metaは、問題に発展する前に未然に不具合を検知する安全策を敷くなどして、利用者とその情報の保護に重層的に取り組んでいます。事業規模の大きさを踏まえ、多大な投資によって幅広い自動化ツールを開発・導入することで、潜在的なプライバシーインシデントを可能な限り早期かつ迅速に特定および緩和することを目指しています。こうした自動化システムは、インシデントをリアルタイムに検知して速やかな対応を円滑に行うことを目的としたものです。
もちろん、自動化システムがどれだけ高性能になったとしても、インシデントを先回りして特定し、対処するには、社員による監視と不断の努力が欠かせません。Metaのエンジニアリングチームでは、利用者に影響が出る前にインシデントを特定し修正できるよう、定期的にシステムをレビューしています。
Metaでは、2011年よりバグ報奨金制度を導入しています。これは、当社の製品やシステムのセキュリティおよびプライバシー保護の強化に向けて、潜在的なセキュリティ上の脆弱性について外部から報告してもらう制度です。外部による発見がさらなる調査につながることがあり、必要に応じてMetaが修正を行います。この制度は、コミュニティの保護を強化するために、より広い範囲から不具合を検知し、より迅速に修復することに役立っています。また、要件を満たす参加者に報酬を提供することで、セキュリティ調査の質を高めることができます。
過去10年間で5万人以上が参加し、報奨金を受け取った方は全世界で約1,500人にのぼります。
Metaは、データへの不正アクセスなどのプライバシー関連のインシデントに対してさまざまな防御策を講じていますが、万が一、問題が発生した場合、Metaの製品、サービス、プロセスへの信頼回復には透明性が重要だと考えています。そのため、Metaのインシデント管理プログラムには過ちを正してそこから学ぶだけでなく、必要に応じて利用者に通知する手順が組み込まれています。例えば、ニュースルームや「プライバシーの尊重」ブログの投稿を通じて、コミュニティに影響が出ている問題や、特定された問題の対応に向けて法執行機関やその他の公的機関と連携していることをお知らせします。
サードパーティとは、Metaが所有または運営はしていないが、Metaと協力関係にある外部パートナーのことを指し、通常は主に2つのカテゴリに分類されます。Metaにサービスを提供しているサードパーティ(ウェブサイトのデザインをサポートするベンダーなど)と、Metaのプラットフォームを利用してビジネスを構築しているサードパーティ(アプリ開発者やAPI開発者など)です。サードパーティとのデータと個人情報のやり取りによって生じるプライバシーリスクを軽減するため、Metaでは、サードパーティのリスクの監督と適切なプライバシー保護策の実施を担うサードパーティ監視・管理専用プログラムを開発しました。
Metaでは、プライバシーリスクを評価、軽減するために、サードパーティ用のプライバシー評価プロセスも定めています。このプロセスの下では、サードパーティのサービスプロバイダーもプライバシー保護条項を含む契約に拘束されます。こうしたサービスプロバイダーについては、リスクプロファイルに基づいてモニタリングと評価の方法を決定し、必要な場合には違反時の措置(提携解消など)も定めています。
Metaは、安全でプライバシーを中心に据えた開発者エコシステムを育む継続的な取り組みの一環として、責任あるデータ利用を促進し、プラットフォームの信頼性を強化するための新しいリソースとイニシアチブを導入しました。
責任あるプラットフォームイニシアチブハブ: サードパーティ開発者に関するプライバシー保護とセキュリティへのMetaの取り組みを一元化するため、責任あるプラットフォームイニシアチブハブをリリースしました。これにより、Metaのプラットフォーム全体で安全かつ責任あるデータの取り扱いを促進するというMetaの取り組みが強化されます。このハブでは、コンプライアンス関連プログラム、責任ある開発手法、Metaのプライバシー規定に準拠するためのツールなどに関するリソースと包括的なガイダンスを提供します。開発者はこのハブを通じて、Metaのポリシーや責任あるプラットフォーム利用に関する必要なリソースにアクセスし、より安全で透明性の高いエコシステムの構築を支援できます。
データへのアクセスとデータアクセスの更新: 開発者によるデータアクセスのリクエスト、管理、更新を新たに1つのプロセスに統合しました。これにより、プラットフォームを簡素化し、新しい開発者ツールを構築するためのMetaの取り組みが強化されます。データアクセスの更新では、開発者は定期評価を年に1回だけ受けることで、Metaのプライバシー規定、データ保護規定、プラットフォーム規約に継続的に準拠していることを証明できます。このプロセスで開発者は、Metaのデータ保護規定と規約への遵守を明示的に再確認し、各種データの利用目的と利用方法を示すことが求められます。Metaは開発者体験を統合することで、開発者が効率的にMetaの要件を満たし、エンドユーザーに信頼性の高いセキュリティとプライバシーを提供できるようにすることを目指しています。
Metaのスクレイピング対策チームは、不正なスクレイピングに関連した行動パターンの検知、調査、ブロックを専門としています。スクレイピングとはウェブサイトやアプリからデータを自動的に取得する行為のことで、許可されたものもあれば無許可のものもあります。Metaから許可を得ずにMetaのプラットフォーム上のデータに自動的にアクセスすること、またはデータを自動的に取得することは、Metaの規約に違反する行為です。
Metaでは、スクレイピングによるMetaのサーバーからのデータ取得および取得データの活用をよりいっそう困難にするためのインフラとツールに継続的に投資しています。この取り組みには、例えばレート制限とデータ制限があります。レート制限は、時間当たりのMeta製品との通信回数に上限を設けるもので、データ制限は、Meta製品の通常利用の範囲を超えてデータを取得できないようにするものです。
不正なスクレイピングでは、Metaの内部で生成された利用者識別子やコンテンツ識別子を推測または購入するケースが多く見られるため、Metaはそうした識別子を利用して対応しています。また、データの推測、データへの接続や反復的なアクセスをより困難にして不正なデータスクレイピングを抑止するため、新たに仮名加工識別子を使用しています。
Metaは、不正なスクレイピングが疑われる行為をFacebookとInstagramで1日に数十億件ブロックしているほか、不正なスクレイパーに対する措置として、アカウントの無効化や、スクレイピングしたデータをホスティングしている企業に対する削除依頼などを行っています。
プライバシー審査は、Metaの製品、サービス、業務の新規開発およびアップデートの核を成すプロセスです。このプロセスでは、新規またはアップデート後の製品、サービス、業務におけるデータの使用方法と保護方法を評価します。プライバシーリスクを評価して軽減するために、Meta全体で1か月に平均1,400件の製品、機能、データ取り扱いを、導入前に審査しています。
—ガバナンス、リスク、コンプライアンス、製品担当VP、Komal Lahiri
このプロセスの中では、プライバシーのエキスパートからなる部門横断的なチームが、プロジェクトに関連する潜在的なプライバシーリスクを評価し、そのリスクを軽減するために導入前に変更が必要な項目がないか判断します。該当するリスクの評価や製品側でのリスク軽減策の案について意見が一致しない場合には、製品やポリシーの統括責任者、そして最終的にはCEOにエスカレーションして評価と判断を仰ぐことが義務付けられています。
プライバシー審査プロセスを通じて製品、サービス、業務の新規開発または変更を行う際には、プライバシーについて社員に期待される次のような項目が指針となります。
Metaでは、プライバシー審査プロセスを広く運用するための検証審査と一元的なプラットフォームにも資金を投じています。
—製品担当CPO (最高プライバシー責任者)、Michel Protti
Metaは、技術投資を通じてプライバシー審査プロセスを大幅に強化しました。特に、製品レベルの意思決定フレームワークを導入することで、審査の一貫性を向上し、標準化を推進しました。このフレームワークにより、類似プロジェクトの過去の審査を活用してプロセスを自動化・合理化し、プライバシーコントロールを直接エンジニアリングツールに組み込むことができました。これらの改善により、一貫したプライバシー規定を維持しながら、毎月1,400件以上のローンチを審査できるようになりました。
Metaが開発と強化を進めているプライバシー対応型インフラストラクチャとは、Metaのインフラストラクチャソリューションに組み込まれた革新的かつ効率的な構造です。このインフラにより、エンジニアはプライバシー要件により簡単に対応しながら製品開発を進めることができます。プライバシー対応インフラストラクチャでは、プライバシー保護のルールが直接コードに埋め込まれるため、要件を自動的に遵守できます。例えば、Metaはポリシーゾーンを構築し、Metaのインフラストラクチャ全体に適用して、データに関する制限(データを許可された目的にのみ使用するなど)に対応できるようにしました。これにより、データの処理目的を確実に制限できるようになりました。プライバシー対応インフラストラクチャは、複雑な目的制限を適用するうえで重要な役割を果たすと同時に、拡張性と信頼性を確保し、開発者の作業を効率化します。
Metaでは、革新的なツールやテクノロジーを全社的に導入することで、取得・使用する利用者データの量を積極的に減らしています。Metaは、取得、処理、使用するデータを最小限に抑えるのに有効な、先端的な暗号化技術と統計技術に基づくテクノロジー群「プライバシー強化技術(PET)」への投資を継続しており、AI向けPETのPyTorchプロジェクトのように、広くエコシステムにおいて有用な場合にはPETをオープンソース化しています。PETへの投資は、Key Transparencyに基づいてつながりとスレッドのセキュリティを検証する、WhatsAppの新しい暗号化セキュリティ機能の実現にもつながりました。これは、自分がつながって暗号化メッセージを送信しようとしている相手(個人またはビジネス)が、第三者のなりすましである可能性を低減する機能です。しくみとしては、スレッドで使用する公開鍵の正当性を、利用者情報とともに公開鍵を保存しているサーバーサイドのディレクトリと照合することで確認し、その後、プライバシーが保護された公開の監査レコードを提供します。これにより、ディレクトリ内のデータが削除も改ざんもされていないことを誰もが確認することができます。
同様の取り組みとして、Metaは、製品を安全かつ効率よく廃止するのに役立つコード・アセット削除フレームワークをエンジニア向けに開発しました。製品の廃止は、削除対象になっていない他のMeta製品との依存関係も含めて製品内外の依存関係がからんでくる、複雑な大仕事です。この課題に対処するため、MetaのSystematic Code and Asset Removal Framework (SCARF)には、依存関係を特定し、製品の廃止に向けた正しい作業手順を示して時間短縮を実現するワークフロー管理ツールが含まれています。また、デッドコードと未使用のデータ型を安全に削除するためのサブシステムもあります。
SCARFは、人間が担う数千件の製品廃止プロジェクトに加え、数百万件に及ぶコードやデータアセットの自動消去を支えるフレームワークです。プライバシーチームにおいても、進行中の製品廃止プロジェクトの状況をモニタリングし、期限内に完了したことを確認するために活用されています。
2016年以来、WhatsAppでの個人的な会話はエンドツーエンド暗号化によって保護されています。これは、利用者のチャットの外部にいる人はもちろん、WhatsAppやMetaでさえも会話を読んだり聞いたりできないことを意味します。2023年には、Messengerでのすべての個人的な1対1のチャットと通話でエンドツーエンド暗号化をデフォルトにする措置を段階的に導入して、利用者のプライバシー保護とセキュリティをさらに強化しました。これにより、自分と相手以外の誰からもメッセージを見られることがなくなります。
これほどの年数を要したのは、適切に対処するために慎重を喫したからです。Messengerの機能を一から作り直すことができたのは、エンジニア、暗号化担当、デザイナー、ポリシーエキスパート、製品マネージャのたゆまぬ努力の結果です。Messengerでエンドツーエンド暗号化を実現するには、Messengerのプロトコルを多くの面で根本から作り直し、Messengerが人気であるゆえんの機能群はそのままに、プライバシー、セキュリティ、安全性を向上させる必要がありました。そこで、WhatsAppとMessengerの秘密のスレッド(Messengerで初期に提供されていたオプションのエンドツーエンド暗号化)での学びを生かし、異機種間での実現、機能サポート、メッセージ履歴、ウェブサポートというきわめて難しい課題を乗り越えて同じことを実現することを目指しました。その一環として、アプリロックや配信コントロール(誰からのメッセージを受け取るか選択できる機能)など、プライバシー、安全性、コントロールに関する新しい機能をリリースしたと同時に、報告、ブロック、メッセージリクエストなどの既存の安全性機能にも改善を施しました。すべての個人的なチャットと通話がデフォルトでエンドツーエンド暗号化されるWhatsAppにおいて、Metaは革新的な暗号化ストレージシステムをリリースしました。これは、WhatsAppの監査可能なキーディレクトリを使って構築されたものです。このシステムでは、WhatsAppの連絡先を安全に保存および回復できます。
エンドツーエンド暗号化において最も重要なことは、利用者が友達や大切な人に安心して自分の考えや思いを伝えられるように、利用者のコミュニケーションを守ることです。プライバシーと安全性のどちらも欠けることがないよう、Metaは、社外の専門家、学術研究者、権利擁護者、行政機関と密に協力してリスクの特定とリスク軽減策の策定に取り組みました。Metaは、独立した人権影響評価を委託し、仕様によって危害を防ぐよう製品を設計するとともに、強力なユーザー管理機能を提供し、不正利用を事前に特定するための投資を行いました。
Ray-Ban Metaグラスでは、自分の視点から見えるものを写真や動画に収め、音楽を聴き、通話に出ることができ、これらすべてをスマートフォンを介さずに行えます。デザインの刷新を経て、より高品質のカメラ、改良されたオーディオシステムとマイクシステム、ライブストリーミングや内蔵のMeta AIなどの新機能が搭載されたことで、瞬間瞬間を体験すると同時に記録にも残せるようになりました。
Ray-Ban Metaグラスは、プライバシー保護を基本理念として開発され、責任あるイノベーションとプライバシー保護設計へのMetaの取り組みを明確に体現した製品です。Ray-Ban Storiesの発売後まもなく各所から届いたフィードバックが、意味のある形で具体的に取り入れられています。
Instagramにティーンアカウントが登場しました。保護者が管理する、ティーン向けの新しいInstagram体験です。ティーンアカウントは、ほかのMetaプラットフォームにも導入される予定です。ティーンアカウントには、ティーンに連絡できる人やティーンが見ることのできるコンテンツを制限する保護機能が組み込まれています。ティーンは自動的にティーンアカウントに移行し、16歳未満のティーンがデフォルトの保護機能を緩和する場合は必ず保護者の許可が必要になります。
保護者用のペアレンタルコントロール機能: 保護者は、ティーンのメッセージを読むことはできませんが、過去7日間にティーンがメッセージを送った相手を確認できます。
詳しくはこちらをご覧ください。
Metaは新たな生成AI機能として、AIスタンプ、AIによる画像編集、AIアシスタント「Meta AI」をMetaの各アプリに導入し、28の新しいAIキャラクターを公開しました。Metaは、プライバシーセンターの生成AIガイドとその他の透明性リソースをアップデートしました。利用者は、MetaにおけるAIモデルの開発プロセス、AI機能のしくみ、居住地域で利用可能なオプションとプライバシーデータ権に関する情報を参照できます。
Metaのツール「この広告が表示される理由」では、引き続きFacebookやInstagramのフィードで自分の見ている広告が表示されている理由を確認できます。大きな変更点の1つは、広告の作成・配信用の機械学習モデルが利用した可能性のあるMetaのテクノロジー内外でのアクティビティ(友達のFacebookページの投稿に「いいね!」した、スポーツのウェブサイトにアクセスしたなど)についての情報が、トピックの形で要約されて表示されるようになった点です。また、Metaの機械学習モデルがさまざまなトピックをつなぎ合わせて関連性の高い広告を表示するしくみについて、具体的な例と説明を新たに公開しました。加えて、Metaの広告コントロールを開く方法を増やし、「この広告が表示される理由」ツールのその他のページからも[広告表示の設定]にアクセスできるようにしました。
MetaコンテンツライブラリとMetaコンテンツライブラリAPIは、利用資格を満たす研究者が、Facebook、Instagram、およびThreads上の公開コンテンツにアクセスできる研究ツールです。研究者は、GUIとプログラマティックAPIの両方を通じてコンテンツの検索、閲覧、フィルタリングを行うことができます。
アクセス可能なデータには、Facebookページ、グループ、イベント、プロフィールからの投稿、Instagramアカウントからの投稿、Threadsプロフィールからの投稿が含まれます。そのほか、リアクション、シェア、コメントの件数、投稿の閲覧回数といったコンテンツの詳細情報にもアクセス可能です。
Metaは、ミシガン大学の政治・社会研究のための大学間コンソーシアム(ICPSR)と提携し、Metaのテクノロジーから得られた公開データを、プライバシー保護を踏まえた責任ある方法で共有しています。このパートナーシップは、ICPSRの業界をリードするソーシャルメディアアーカイブ(SOMAR)イニシアチブを通じて実現されています。SOMARは、MetaコンテンツライブラリとコンテンツライブラリAPIへのアクセス申請を独自に処理し、審査します。
Metaでは、コミュニケーションの透明性を確保するため、Metaでの対策についてよりよく理解し認知してもらうための社外への情報発信や、情報を入手しやすく見つけやすくする取り組みなどを行っています。
透明性を高め、利用者によるコントロールを強化するため、Metaでは、自分が共有する情報と自分の情報の使われ方を把握できる以下のようなプライバシーツールを開発しました。
「プライバシーに正しく取り組むには、全社一丸となって継続的に力を注ぐ必要があり、企業としてのミッションを推進するためにMetaの全員がその責任を担っています。」
—製品担当CPO (最高プライバシー責任者)、Michel Protti
利用者のデータとプライバシーの保護は、Metaのビジネス、そして将来へのビジョンの根幹にあります。Metaはその実現のために、期待の変化や技術開発に対応しつつ、今までにない課題に対しては政策決定者やデータ保護の専門家と協力して解決策を探り、その都度進捗をお知らせしながら、プライバシープログラムと製品の改良および改善を継続していきます。