Project Aria
の紹介
Project Ariaの紹介
Project Ariaで目指しているのは、デバイスが日常生活に溶け込み、デバイスによって周囲の世界がより豊かになる未来、デバイスのデザインと使用感がより人間的なものになる未来です。
Project Ariaは普通の眼鏡のように身に着けることができるリサーチ用のデバイスで、未来のARデバイスに必要なハードウェアや、3D空間のライブマップを含むソフトウェアの開発をサポートします。Project Ariaリサーチ用デバイスのセンサーにより、着用者の動画と音声、視覚情報、位置情報が取得されます。取得されたデータは、オンデバイスコンピューターにより暗号化されたうえで保存され、独立した専用のバックエンドストレージスペースにアップロードされます。このデータは、実世界でのARの活用方法を理解する助けになります。
このプロジェクトについての詳しい情報最新情報を読むLiveMaps: Project Ariaでの実践
未来のARデバイスを人々にとって本当に役立つものにするためには、さらに知覚力を高める必要があります。デバイスが人やその他のモノを基準に自らの位置を認識し、現在の状況を把握できるようにするためには、利用者の周りにあるモノが反映されたバーチャル3Dマップが必要です。リアルタイムで周囲の状況をゼロからスキャンして再現すると、処理負荷が大きくなりすぎます。そのため、ARグラスではLiveMapsと呼ばれる既存の3Dマップを利用する必要があります。
LiveMapsはコンピュータービジョンを使い、着用者と関連性のある世界の一部を仮想表現として構築します。これらの3Dマップにより、周囲の世界を効率的に見て分析し、理解できるようになるため、利用者にとってより役立つデバイスとなります。デバイスでは、通りの新名称などの変更をトラッキングして、リアルタイムで情報をアップデートします。Project Ariaのデバイスでは、これが実際にどのように機能するかをテストしています。
Project Ariaグラス
Project Ariaが目指すのは、安全でセキュアな環境で学習を進めることです。Project Ariaグラスはまず、約3,000人のFacebook社員と請負業者、そして有償で研究に参加する外部の協力者に提供されます。対象者はデバイスをいつどこで使用するかについてのトレーニングを受けます。世界についての正確で多様な視点を構築するために、このプログラムでは多様なバックグラウンドを持つ人の参加を求めていきます。
Project Ariaグラスは消費者向け製品でも、ARグラスのプロトタイプでもありません。Project Ariaグラスにはディスプレイがないため、リサーチ参加者はデバイスが取得する動画を直接見たり、音声を直接聞いたりすることはできません。ただし、データのセグメントを削除するために、スマートフォンにインストールしたコンパニオンアプリで低解像度のサムネイルを見ることができます。データは暗号化されたうえで保存され、安全な取り込みシステムを使って、リサーチデバイスからFacebookの独立した専用バックエンドストレージスペースにアップロードされます。
Project Ariaパイロットデータセットで研究を加速
Ariaパイロットデータセットは、コンピュータービジョンやAIの研究者に、さまざまな場面(調理、ゲームのプレイ、屋外でのハイキングなど)で撮影されたProject Ariaの匿名化データへのアクセスを提供するものです。このデータセットは付属のツール群とともに提供されますが、その目的は、カメラの自己位置推定やシーン認識といったコンピュータービジョンやAIに関連する幅広いタスクの研究を後押しすることです。
Project Ariaパイロットデータセットについての詳しい情報Ariaリサーチキット
ARの未来を形作る独立研究で必要になるツール、サービス、ドキュメントを含むキットを、研究コミュニティに広く提供します。
申請し承認を受けた方には、以下へのアクセスを含むAriaリサーチキットが提供されます。
リサーチパートナーシップ
AR技術におけるアクセシビリティを探究し、それが将来さまざまな身体的能力の人にどのように資するかをより深く理解するため、Metaは2020年にカーネギーメロン大学(CMU)の NavCog プロジェクトとともに、博物館、美術館、空港の3Dマップを構築するパイロットプログラムをスタートさせました。CMUが開発したNavCogは、視覚障害者がGPS信号の届きにくい屋内空間をもっと移動しやすくなるようにする、音声ベースのウェイファインディング(道案内)アプリです。CMUは2014年からNavCogに取り組んでおり、このオープンソースのプロジェクトには世界中に多くの協力者がいます。Metaと提携する前、CMUは、屋内空間にいるNavCog使用者の位置を正確に特定するために、その空間内に設置したBluetoothビーコンに頼らざるを得ませんでした。しかしProject Ariaデバイスの導入後は、ピッツバーグ国際空港などの場所の3Dマップを作成し、そのマップを使って、スマートフォン上のAI自己位置推定モデルを訓練できるようになりました。これによって外部のBluetoothビーコンへの依存が減り、NavCogを広く導入できるようになる未来がまた少し近づくかもしれません。
Metaは2021年にパートナープログラムを拡大し、シンガポール国立大学にグラスを提供しました。将来的にはその他のパートナー大学にもグラスを提供し、各大学が一人称視点の認識に関する独自の研究を進められるようにします。
BMWが産業界からの最初のパートナーとなったことを発表できるのも喜ばしいことです。ARグラスはいずれ、カーナビに利用されるようになるとMetaは考えています。そこに到達する前の段階で、BMWのようなパートナーは、ARテクノロジーと未来の車両の融合について、その可能性を探ることに関心を寄せています。この提携は、視覚的な情報をもとに現在地を特定するARグラスで車両走行中の現在地をどう特定するのかを研究する助けになります。
Ego4DコミュニティへのProject Ariaデバイスの提供
コンテキスト認識型のエゴセントリックな(一人称視点の)AIの構築は、数十年前から始まっています。人工知能の学術研究はこの20年で飛躍的に進歩しましたが、それにもかかわらず、AIはまだ、人間の目に世界がどのように見えているかを本当の意味で理解することはできていません。
そこで2022年、日常生活の一人称視点動画について世界最大の公開データセットを収集および提供することを目的として、世界各地の15の大学からなる国際コンソーシアムがFAIRによって組織されました。このプロジェクト、 Ego4Dは、コンピュータービジョンの進歩に必要なデータを一人称視点動画から作成し、共有する取り組みです。
しかし、AIに人間と同じように世界を知覚させるには動画データだけでは足りません。Ego4Dに参加している一部の大学は、一人称視点動画の認識に関する研究を拡大し、Project Ariaのセンサー(ステレオカメラ、2機の慣性計測ユニット、空間化マイク、アイトラッキングカメラなど)によって捉えられたデータの活用も始めています。この取り組みにより、Metaは、Project Ariaを世界中のより多くの研究者に提供し、Ego4Dプロジェクトで人間の体験への知見を深められるようサポートしたいと考えています。
Metaの取り組み
Metaはベストプラクティスを確立し、透明性をもって障壁となるものを公開し、どのような情報を収集しているのかについて高い可視性を確保し、記録された情報を保護するプロセスを構築することに真剣に取り組みます。参加者が記録を行うのは、Facebookのオフィス、着用者の自宅(世帯全員が同意している場合)、または公共の場所のみとし、書面による同意がない限り、プライベートな場所では記録を行いません。公共の場所で収集された情報は、研究者が利用する前に、顔や車のナンバープレートに自動的にぼかしをかける処理が施されます。
ARデバイスとAR体験によって、将来的には人とその人の最大の関心事とが深くつながり、利便性と情報量が増えて、いろいろなデバイスとにらめっこする時間は減ることになるでしょう。Metaは、ARエコシステムの構築において、機会よりも常に人を優先します。そのため、前進しながらも熱意を持ち続け、未知の状況を切り抜けるための指針となる責任あるイノベーションの4つの重要な原則を策定しました。透明性が高く、有意義で、思いやりがあり、何よりも人間味のあるテクノロジーを設計していきます。
よくある質問
Project Ariaの参加者が公共の場でデータを収集している場合、周囲の人にデータの収集中であることがわかるようにしたいとMetaは考えています。そのために参加者はまず、研究プロジェクトの一員であることがはっきりとわかる服装をします。例えば英国では白いベスト、他の国では白いTシャツを着用し、ネックストラップを下げ、興味を持った人がウェブサイトで詳しい情報にアクセスできるように、QRコードとURLが記載されたチラシを所持します。デバイスがデータを収集している場合、白いライトが点灯して記録中であることを示します。人々のプライバシーを尊重し、Project Ariaの情報とリサーチデバイスが行うことについて透明性を確保するために、Facebookはポリシーと指針を継続的に検証していきます。
2020年9月にProject Ariaがスタートして以降、Metaは公共の場所でのデータ収集を行う地域を米国外にも段階的に広げています。
2021年9月に発表したとおり、Metaの一部の社員および請負業者は、シンガポールの数か所の公共のランドマークで公共のデータ収集を開始しました。
2021年にはさらに、英国、EU、スイス、シンガポール、カナダ、イスラエルの社員および請負業者の一部が、世帯全員の同意を得て、各自の自宅でデータを収集しました。
2022年からは、イングランドおよびアイルランドにいるMetaの十数名の社員が、公共の場所でのデータ収集を開始しました。
最終更新: 2022年5月
公共の場所で収集されたデータの顔や車のナンバープレートには、ぼかしがかけられます。参加者は、プロジェクト参加者であることがはっきりとわかる目立つベストまたはTシャツとネックストラップを着用し、チラシを持ちます。このチラシには、データを記録中である旨と、QRコードおよびURLが記載されており、周囲の人がこの研究プロジェクトとプライバシーポリシーについての詳しい情報にアクセスできるようになっています。また、Project Ariaリサーチの参加者は全員、近くにいる人から記録の停止や関連データの削除を求められた場合にはその要望を尊重するよう指導を受けています。参加者はボタンを押していつでも記録を停止することができます。また、未加工データを確認することなく、参加者のスマートフォンにインストールされたコンパニオンアプリでタイムスタンプを選択し、記録したデータセグメントを特定して削除することが可能です。また、リサーチ参加者全員が、データを収集すべき場所とタイミング、記録に不適切な場所(トイレ、礼拝所、更衣室、機密性の高いミーティング、その他のプライベートな状況)についてのトレーニングを最初に受けます。
記録されたデータはProject Ariaデバイスに一時的に保存され、Facebookのサーバーに定期的にアップロードされます。サーバー上で72時間隔離された後、独立したバックエンドストレージに転送されます。この隔離時間には唯一例外があり、データの記録に同意しているMetaの社員と請負業者しかいない完全な同意環境で記録されたデータには適用されません。
Metaは収集したデータの安全性を保つため、追加の措置を取っています。デバイス上のデータは暗号化され、誰もアクセスすることはできません。また、Project Ariaデバイスから専用の独立したバックエンドストレージシステムへのデータのアップロードには、安全な取り込みシステムを使用しています。
最終更新: 2022年5月
このデバイスでは顔認証による識別技術は利用しません。また、リサーチデバイスのセンサーを使って取得した傍観者についての情報を傍観者のFacebookアカウントとリンクすることはありません。どのような状況においても、デバイスのレンズの内側に情報は表示されず、デバイスが取得した未加工データにリサーチの参加者がアクセスすることはできません。
いいえ。Project Ariaは、ARグラスの開発に必要なハードウェアとソフトウェアを理解することを目的とした研究プロジェクトです。
実用的なARグラスの開発に必要になるハードウェアとソフトウェアを理解するのに十分な量と品質の一人称視点データを収集できればと考えています。
このリサーチ期間中、収集するすべてのデータは独立したバックエンドサーバーに保存されます。Facebookでは、必要な責任を果たすためにデータにアクセスする必要がある、許可を得た研究者だけがデータにアクセスできるように、コントロールを導入します。Facebookは、この情報の安全性の確保に責任をもって取り組んでいます。
Project Ariaグラスは消費者向け製品でも、プロトタイプでもありません。また、販売予定もありません。レンズの内側に情報は表示されず、リサーチの参加者はデバイスが取得した未加工データにアクセスすることはできません。リサーチグラスはリサーチ用のデバイスであり、ARグラスの開発に必要なハードウェアとソフトウェアを理解するためのものです。
当初、リサーチの参加者は主にサンフランシスコのベイエリアとシアトルに住む、Facebookの社員と請負業者約100人に限定されていました。
2021年9月に発表したとおり、Facebookの一部の社員および請負業者は、米国の上記以外の場所、およびシンガポールの数か所の公共のランドマークで公共のデータ収集を開始しました。
2021年にはさらに、英国、EU、スイス、シンガポール、カナダ、イスラエルの社員および請負業者の一部が、世帯全員の同意を得て、各自の自宅でデータを収集しました。
2021年11月には、すでにデータ収集を行っていた国で、研究に参加するFacebookの社員と請負業者、外部の有償の研究参加者、パートナーを増やしました。使用デバイスの数は全世界で約4,000台になります。
2022年からは、イングランドおよびアイルランドにいるMetaの十数名の社員が、公共の場所でのデータ収集を開始しました。
最終更新: 2022年5月
Facebookの社員がこのプログラムに参加できるのは、プログラムに関心がある場合です。通例どおり、参加者でない人には、不快に感じた場合に記録の停止を求める権利があります。また、関連データの削除を求めることができます。記録の制限について配慮するよう参加者全員が厳しいトレーニングを受けています。
産業界か学術界かを問わず、パートナーはMetaのProject Aria研究コミュニティガイドラインを遵守しなければなりません。このガイドラインは要件とベストプラクティスをまとめたものであり、Facebook独自のProject Ariaプライバシー要件が反映されています(例えば、記録中であることが周囲の人に明確にわかるようにする、顔やナンバープレートなど個人を特定できる情報にぼかしを入れるなど)。Project Ariaを用いたあらゆる研究でプライバシー要件および安全要件を守るよう徹底させるこのガイドラインへの遵守は必須です。
コミュニティガイドラインの遵守に加えて、各パートナー大学には大学の研究倫理委員会や研究倫理審査委員会の規定に従う責任があります。
データの保存と管理はパートナー自身が行うことになっています。ただしパートナーは、Metaのインフラストラクチャを使用して利用前のデータにぼかしを入れるなどの処理を施すことができます。パートナーがMetaによる使用を許可しない限り、Metaがこのデータを使用することはありません。